海洋温度差発電のしくみ

Working Liquid Flow

海洋温度差発電は、太陽からの熱エネルギーにより温められた表層海水と海洋を循環する冷たい深層海水との温度差をタービン発電機により電力に変換する、再生可能エネルギーによる発電のひとつです。低い温度域を利用するため、タービンを回す作動流体として、沸点の低い媒体(アンモニアや代替フロン)が用いられます。

海洋温度差発電 Q & A

Q: 海洋温度差発電の特徴は?

A: 表層海水も深層海水も、水温が急激に変わらないため、発電出力が安定していて、発電量の予測も容易であることが特徴です。 また、汲み上げた深層海水を色々な用途に複合利用できることも、海洋温度差発電ならではの効果です。

Q: 海洋温度差発電の歴史は?

A: 1881年にフランスの物理学者ジャック=アルセーヌ・ダルソンバールが提唱したのが始まりとされています。 その後、断続的に開発が続けられてきましたが、近年の再生可能エネルギーへの期待の高まりを受けて、日本のほか米国、フランス、中国などで開発が盛んに行われるようになっています。

Q: 海洋温度差発電が可能な地域は?

A: 現在の技術では、表層海水と深層海水との温度差が年間平均で20℃以上ある亜熱帯、熱帯地域に適用可能とされています。日本では、沖縄周辺の他、小笠原諸島や黒潮流域がその条件に該当します。

Q: 発電のポテンシャルは?

A: 日本における導入ポテンシャルは、離岸距離30km以内では5,952MW(メガワット)、離岸距離制限なしでは、173,569MWと算定されています(いずれも、表層と深層の温度差が20℃以上となる地域で、海洋環境への影響が無視できるほど小さくなる取水量の場合)。

うち沖縄では、離岸距離30km以内で2,797MW、離岸距離制限なしでは、70,992MW … 現在の沖縄の発電設備容量はおよそ2,000MWですので、それを全てカバーするだけのポテンシャルを持っています。 (数値出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 「海洋エネルギーポテンシャルの把握に係る業務」報告書, 平成23年3月)

Q: 商用化時の発電コストは?

A: NEDO 再生可能エネルギー白書 初版(2010年7月)および第2 版(2014年4月)に、海洋エネルギー資源利用推進機構(OEA-J) 海洋温度差発電分科会による発電コスト算定値が掲載されています。出力 10MW 級で20円/kWh 前後、出力100MW級で10円/kWhと、既存の火力発電や原子力発電に匹敵する発電コストとなっています。

この発電コストは、NEDO「次世代海洋エネルギー発電技術研究開発(海洋温度差発電)」(2011〜2014 年度)において、設置海域を沖縄周辺に設定して精査されています。同研究開発では、2012 年度に本「海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」において OTEC 実証試験設備を建設した(株)IHI プラント建設・(株)ゼネシス・横河電機(株)の 3 社、および、浮体構造のコスト算定のため造船大手のジャパン マリンユナイテッド(株)が参画して、出力 1MW 級および10MW 級の発電プラントの基本設計を行い、発電コストを算定しました。商用化時の発電コストは 1MW 級で 31.0〜44.5 円/kWh、10MW 級で 18.6〜23.5 円/kWh とされ、前掲の NEDO 再生可能エネルギー技術白書とほぼ同等の値が得られています。

これに続くNEDO「海洋エネルギー発電システム実証研究(海洋温度差発電)」(2014〜2017年度)では、出力10MW級のOTECについて浮体構造内の配置見直し等によるコスト精査がジャパンマリンユナイテッド(株)によって行われ、出力 10MW 級の発電コストは20.7〜26.3円/kWhと更新されました。

本実証事業では2013〜2017年度の5年間の運転実績を基に、1MW級OTECプラントの運転管理費を算定しました。その結果、運転管理費は 4.2円/kWh 程度と推定され、発電コストは29.7円/kWhとなり、上記のNEDO事業時の算定値よりも約25%削減できる可能性が示されています。

また、将来的な発電コスト削減要素については、本事業の報告書の第U部3章にまとめていますので、ご参照ください。

沖縄県「平成30年度海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業及び海洋温度差発電における発電後海水の高度複合利用実証事業」報告書

表層海水の温度

22.6°C

深層海水の温度

10.8°C

(令和3年2月16日)

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